「旅館を経営していると休みがほとんど取れないのは大変だけど、お客さんとお話したり仲良くなるのが好きだから、続けられていると思っています」
このように話してくださったのは、
つなぎ温泉の丸家旅館のご主人、村上房人さん。
村上さんは岩手県盛岡市にあります丸家旅館を先代より継いで三代目にあたります。
私は中学高校と岩手県で過ごし、盛岡市にも住んでいたことがあります。
そのときに日帰り入浴に市内のつなぎ温泉を訪れていました。
つなぎ温泉はホテル大観、愛真館、ホテル紫苑といった大きなホテルが立ち並んでいますが、その中で丸家旅館は少しタイプが違い対照的な温泉旅館です。
旅館のお部屋が8室のみで家族で切り盛りしているアットホームな雰囲気の旅館で、
お客さんも1泊2日二日の短期宿泊よりも数か月も宿泊するような長期滞在のお客さんが多いようです。
ホテルのレビューをみてみると、
- 旅館の老夫婦の温かいおもてなし
- 料理がおいしい
- 温泉のお湯が良い
といったコメントがみかけられました。
ちょっと他とはタイプの異なる温泉旅館ということでコメントの内容も詳しく知りたく、
丸家旅館のご主人の村上さんにインタビューさせていただきました!
■おもてなしの評判の高さの秘密に迫る
「宿泊者との距離感と家庭の味はお客様への思いやり」
おもてなし1:お客さまとのコミュニケーション
多くを語らず飾らない性格がどこか親しみを感じる村上さんが常連客と思われる宿泊客と会話している場面を滞在中は何度もみかけました。
ご主人もお客さんも両方ともとても楽しそうでした。
ご主人は長期滞在のお客さんが多いことから、長く心地よく旅館で過ごしてもらうために、過剰なサービスはせずにお客さんに立場になってゆっくり過ごしてもらうためにはどうしたら良いのか、ということを意識して接するようにしているそうです。
たしかに、私も一人で旅行して宿泊する際は静かに物思いにふけたりすることが好きなので、散歩したり温泉にゆっくり浸かることが好きなので、声をかけられたくないときもあります。
旅館の方が気にかけてくださって声をかけてくださるのはありがたいのですが、宿泊者それぞれの過ごし方に合わせて、時には無理に親しく声をかける必要がないときもあると思います。
ご主人は宿泊する人たちにそういった配慮をされていて、これがおもてなしのあるべき姿なのではないかと感じました。
旅館部屋(川風)
おもてなし2:飽きさせない料理と食材のこだわり
また、評判の良さの由来として欠かせないのがお料理です。
旅館の料理は「地物をたくさん使った贅沢なメニュー」などという意味で評判が良いというわけではなく、
地元の良い食材を使って、家庭の味で調理して食事を提供するという点でお客さんから良い評価を得ているみたいです。
これは客層として長期滞在者が多いここならではの特徴といえるでしょう。
毎日、贅沢な料理のフルコースを食べ続けているとそれこそ本当に飽きてしまうと思います。
食事も良い意味で地元の食材を使った飾らないメニューとなっており、
また、長期滞在者のお客さんのために食事のメニューも毎日少しずつ変えているそうです。
毎日食べていても飽きがこなさそうです。
また、毎日必ず食べるお米には特にこだわっているようで、岩手県水沢地域限定の金札米を使用しており、ふっくらと炊き上がったお米はとても美味しかったです。
こういった些細な気遣いが多くの長期滞在するリピーターを増やしている所以なんだろうと感じました。
夕食メニューの一例
朝食メニューの一例
■温泉へのこだわり
「源泉かけ流しのお湯を守り、シャワーからは温泉が出てくる」
村上さんは先代のころからの源泉かけ流しのお湯を守り続けています。
「そのときそのときの温度によってお湯の温度が変わってしますので、毎日お客さんに気持ちよくお湯に浸かってもらうように温泉のお湯管理をしっかりと行っています」
少しトーンが低くなって発せられた言葉からは湯守りとして先代から守り続けているという強い責任感がうかがえました。
いまは温泉管理装置も発達し、以前よりもお湯の管理が容易になりましたが、
昔からの手法でお湯の管理を続けているのは源泉かけ流しの温泉を守り続けている誇りに起因するところもあるのではないでしょうか。
丸家旅館・男性浴室写真
温泉総選挙2016 つなぎ温泉 スポーツリハビリ部門 4位受賞
そして驚くべきことに、ここではシャワーから出るお湯も温泉だということです!
「お客さんからはシャワーを使って髪を洗ってると温泉のにおいがするよと言われたこともあります」
なんと贅沢なんでしょう!!
入浴だけでなく、身体や頭を洗うのも温泉を使えて温泉をたっぷり浴びれるなんて…
温泉ソムリエからしたらそんな贅沢して良いのかと思ってしまいます。
具体的な泉質を適応症について以下の通りです。
硫黄泉(低調性アルカリ性高温泉)
硫黄泉:硫黄は水の神道力の10倍ともいわれ濃い(強い)温泉であり、強い殺菌力がある
生活習慣病、メタボの湯=動脈硬化症、高血糖、高血圧
痰の湯=硫化水素型なら痰の切れをよくする
皮膚病全般=皮膚の殺菌効果
低張性:浸透圧が低い=優しい温泉、水分が肌に浸透しやすい
高温泉:適温で鮮度が良い
源泉かけ流し:温泉を循環せず(再利用せず)掛け捨てで鮮度が高い
温泉分析書
その他Q&A
またこのほかにもいくつかご主人に質問してみました!
以下、質問に対するご主人からの回答です!
Qコロナの影響はありましたか?
A.今年(2020年)の4-6月まではキャンセルが相次いで今後どうしようかと真剣に悩みました。
7月ころからやっと長期滞在のお客さんも入り始めて、いまは少し安堵している状態です。
Q現在はコロナ対策としてどのようなことをされていますか?
A.空気清浄機の設置、アルコール消毒液を各所に置いています。
また随時換気を行い、お客さんにもお風呂場などで密にならないように呼び掛けています。
※丸家旅館では「岩手県感染対策実行宣言」をしており、県のガイドラインに沿ってコロナ感染症対策を実施しています
Q旅館を経営している上でどんなことが大変でしたか?
A.一番は休みがほとんどないことです。よっぽどのことがない限り連続で休みがないです。
ただ、その一方でお客さんと親しくなってお話したりするのは楽しいのでなんとか続けられていると思います。
Q長期滞在のお客さんが多いと聞きましたが、お客さんは滞在中にどんな過ごし方をしているんですか?
A.あちこちの観光地などに行っているみたいですよ
たとえば、小岩井農場、手作り村、盛岡市にある資料館など。
この間はあるお客さんが御子田の朝市に出かけてまつたけを買ったと聞きました。
今年はまつたけが豊作だったようです。
Q繁忙期はいつ頃ですか?
A.お客さんは仕事の出張で長期滞在が多く、その仕事の職種によって異なるので、他の旅館のような桜の季節や夏のさんさ踊りの季節が繁忙期になるというわけではありません。
Q予約はどのようにしたら良いですか?
A.電話かオンライン予約で可能です。
ただ、過去に宿泊代を支払わずにいなくなってしまったお客さんがいたことから、念のため確認の電話や会社の出張予約であればFAXでの確認もすることもあるのであらかじめ理解していただければ幸いです。
Q今後の展望について聞かせてください
A.先代から続けてきたこの旅館をなんとかいままでとおりやっていけたらいいかなと思っています。
インタビュー特集は以上となります!
いかがだったでしょうか。
実際に温泉旅館のご主人の話をお聞きすることで、その旅館の魅力、そして人柄が旅館自体にもにじみ出ているような温かい雰囲気がさらに伝わってきました。
インタビューにご協力してくださった丸家旅館の村上さん、本当にありがとうございました!!
【丸家旅館】
住所:岩手県盛岡市繋字舘市2-4
盛岡インターより秋田方面へ車で約15分。盛岡駅より路線バスで約30分。小岩井駅よりお車にて約6分。
電話番号:019-689-2016
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